下肢静脈瘤治療を希望される方へ
下肢静脈瘤とは: 表在皮静脈が屈曲、蛇行し、内腔の拡張した状態です。
原因
先天性素因が疑われており、女性患者の43%、男性患者の19%に静脈瘤の家族歴が認められるとされています。悪化要因としては、環境因子による静脈内圧の高まり(長時間の立位労働、妊娠など)が挙げられます。
症状
青黒く拡張した血管・瘤として静脈瘤が見えるだけでなく、下肢易疲労感、下肢重量感、鈍痛、腓返り、痒みなどを自覚します。静脈の怒張だけでなく、色素沈着、皮膚硬化、湿疹、静脈炎、難治性皮膚潰瘍を認めることがあり、スカートが履けない、温泉に入れない、水着になれないなどの秘かな悩みを抱えている人もあります。
これらは、静脈還流障害に基づく下肢の鬱滞症状です。心臓から足に流れてきた血液が静脈弁不全や深部静脈血栓症などの静脈の病気のために心臓に戻れず、下肢に鬱滞するのです。直接生命にかかわる病気ではないので、積極的な治療を勧められないこともありますが、上記のような悩みを抱えている方には治療をお勧めします。
治療
治療の目的は、鬱滞による様々な症状の改善です。
詳しくは次項をご参照ください。
検査
血管の異常を正しく評価し、適切な治療を選択するために、通常の診察に加えて、血管エコー(超音波検査)とCT検査を受けていただいています。
扱う疾患・治療方法など
幾つかの手術法があり、静脈還流障害を原因とする鬱滞症状の改善を目的にこれらを組み合わせて行います。何れも局所麻酔(+鎮静剤)で痛みを取り、日帰りあるいは1泊2日程度の入院で治療を行います。
静脈瘤切除術
目立つ静脈瘤(分枝静脈瘤)を切除します。
高位結紮手術
静脈瘤の主原因となっている部位の血管を結紮します。
静脈抜去術(ストリッピング)
静脈瘤に関連した血管を抜去します。
血管内焼灼術(レーザー治療・高周波治療)
コンピューター制御で熱を発生させることのできるカテーテルを用いて静脈瘤に関連した血管を閉塞させます。